保育園訪問


 

それは私が中学校3ねんせいのときでした。

その時に家庭科の実習であったのは『保育園訪問』。各自で一個はおもちゃを作り、それで子供たちと遊べ、と言うことでした。

クラス各自一斉におもちゃ作りに取り掛かります。私は紙製のブーメランとハリセンを作りました。
そして、時間になり各自一斉に保育園に向かいます。

 

 


それが地獄の幕開けでした。
 

 


そして一時間後・・・・なぜか私は追い詰められていました。


後ろには箒やモップをもった幼児の群れ。止まるとぶっ叩かれるので全力で逃げます。
しかし・・・箒は掃く物だよ。柄で叩くものじゃないよ。


なんでこんなことになったんでしょう・・・護身用のハリセンは既に奪われビリビリに壊されました。30分前までは仲良く遊んでたのに一体何故?
適当な教室に隠れると箒やモップを持った幼児が「でてこーい!」だの「みんなあつめろー!」だの聞こえます。
江戸時代の山狩りか。
 


「いたぞー!」

 

見つかりました。逃げようとした所に一発叩かれました。ケツが痛い・・・モップは金属製だったので攻撃力が高いのです。
幼児みんな眩しい笑顔です。手に武器を取った堕天使共め。


しかし逃げてばっかりいたら攻撃方法が変わりました。

 

振り回すだけのモップや箒を槍のように構えて突撃してくるのです。
 


これには参りました。ちょっとでも止まると箒の絵やモップの柄がHITします。ケツの穴が増えるぞ。

しかし終わりは唐突にやってきました。行き止まりです。

逃げ場はありません。一本道は武装した幼児で封鎖されています。
 


「たおせー!」

 

幼児が飛び掛ってきました。箒やモップの柄をなんとかかわし、奪い取り、なんとか奮戦していました。


そのうち箒やモップが効かないと分かった幼児は攻撃方法を変えました。

 
足に飛びつき倒そうとするのです。

 
しかしそんなもじゃ倒れないぞ。と思ってたら数が数、いつの間にやら幼児の数は十人以上に膨れていました。

 


こりゃやばいなぁと思っていたら幼児の正拳が股間にHIT

 

死ぬ!男としてのシンボルが死ぬ!!おふくろさんが死ぬ!!


たまらず倒れこみました。スクリューかけやがって。いい角度でエグられた。


くそう、幼児じゃなかったら17分割するところだと一瞬殺意が芽生えましたが・・・事態はそれどころじゃなかった・・・

「乗れ乗れー!」

 

倒れた私に幼児がどんどん乗ってくるのです。一人や二人ならいいんですが・・・膨れに膨れた人数総勢16人。

 

さすがに死ぬんじゃないかな、うん。

 


「みぎゃー!!」だの「死ぬー!!」だの言っても幼児は笑うだけです。それどころかどんどん乗ってきます。

10人辺りで呼吸が困難になりました。胸の上に乗るな。

「もっとみんなよんできてー」血の気が引きました。スルメみたいにぺったんこになる!

 

 


「こらー!なにやってんのー!!」

 

 

救世主はいました。保育園の先生です。あっという間に幼児は散り散りになります、助かった・・・


先生は謝っていますが私は気を抜けません。近くでは幼児が先生が去るのを今か今かと狙っています。

 

こいつら・・・先生が去った瞬間に総攻撃をかけるつもりだな・・・

そうはさせまいと先生が去る方向にダッシュ!こうすれば少しは逃げる時間が稼げます。そして物置に隠れる。

 
「でてこーい!」「にげるなー!」

 

山狩りが再び始まったようです。しかしここは物置、そうそう見つからないはず。


「いたー!」

 

あっさり見つかりました。

 


次の瞬間、こめかみに衝撃が走りました。続いて猛烈な痛み。

 


どうやら幼児が投げたおもちゃがこめかみにクリーンヒットしたらしいです。

 

手をどけると何か滴り落ちました。そうです、流血です。


見つけたと聞いて集まった幼児たちも、流血する私の姿をみて動揺してるようです。

しかも女の子は今にも泣き出しそう。むぅ、ここは私が何とかしなくては。
 


「ホォアタァー!!!」

 

 

ブルース・リーだかジャッキー・チェンのモノマネです。流血ジャッキー。

 


次の瞬間そこにいた幼児全泣きました

 

むぅ、世界一流血が似合う男なのに。押しが弱かったか?

 


「ホゥアチャー!!(アクションつき」

 

 


全員泣いて逃げました。プチ阿鼻叫喚。

 


物置から出てきます。流血した姿に関係の無い幼時まで逃げていきます。そして先生が慌ててこっちに駆け寄ってくる。

まぁそんなこんなで手当てを受け、訪問終了。クラスの中でケガをしたのは私一人でした。


・・・・と、まぁ昔話でした。幼児コワイ。

私は子供は好きですが、今でも幼稚園は怖いです。


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